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「依存症」社会
著者名:和田秀樹

2014-08-02 下田博次さん 長野県
私は日本の青少年のネット利用問題に取り組んできた研究者だが、本書を読んで驚いた。以前よりインターネットという最新メディアの本質理解は、IT専門家や教育者等より海外の心理学者や精神科医の方が格段に優れていると考えていた。しかし我が国にも優れた心理学研究者がいることが本書でわかった。私のような情報メディア研究者は、最近のスマートフォンやゲーム商品の、特に子ども社会に及ぼしている問題を狭い視点から見ていたと感じた。日本の子ども達は、インターネットをいじめや依存等自己破壊的に使わされてきて、学校や警察はそのシワ寄せを受け続けてきたが、現状は悪化するばかりだ。この問題解決のためには、酒やバクチに依存させて利益を得るような危ない社会の経済体質を変える必要がある。特に子どものネット利用問題を生み続ける根本原因に目を向けないと、これからの日本に希望はない。
社会や個人を破滅させる我が国の依存社会の理解は急務だ。IT学者や教員達に必読の本と思う。


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