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ジャンル・タイトル・著者名
小説(文庫を除く)
木暮荘物語
著者名:三浦しをん

2014-11-09 raikaさん 神奈川県
この物語に登場する人たちは皆、すごく変だ。変わってる。一種の変態だと言い換えてもいい。ただ、彼らの抱く感情の波や悩みの種はものすごくリアリティーに溢れている。彼らの突飛な性格も行動も、三浦しをんの手にかかれば魔法のように私たちの現実に寄り添ってくれるのだ。「怠慢が愛を枯らすのだと、自身の傲りに復讐されるまで気づかない」3年の音信不通期間の後、新たな恋人の存在を認めつつも未だ自身の恋心は諦めきれず、とことん報われない変人並木。物語の序盤で登場した彼の目線で描かれる最終話『嘘の味』で彼は、こんな風に心の内で至極真っ当な感覚の持ち主だったのだと読者に語りかける。人より少し不器用で、自身の感情に疎い並木。新たな出逢いによって自分のこれまでの生き方すらひょっとすると改めてしまいかねない危うい彼だけど、どうか私が本を閉じた先も彼が穏やかに幸せに暮らせますように。

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