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ジャンル・タイトル・著者名
文芸書(文庫を除く)
潮鳴り
著者名:葉室 麟

2015-02-14 西本 裕さん 兵庫県
人は皆、つらいことは避けて生きていきたいが櫂造とお芳の生き方から、死んで楽になるのではなくて「覚悟をしなければならないのは何であるかが、ようやくわかった」と櫂造が悟ることから話が進んでゆく。染子がお芳に諭す「かってどのような失態を演じたにしろ、今の戦いでご主君をお助けする者こそ天晴な武士です・・・」染子の姿が初めは酷い人柄として描かれていたが、人間として大事なところをきっちりと押さえていて「嘘をつかないで生きていく」、この簡単なことが現代にどれだけ大切かを教えてくれる。作者の描く主人公の人間像がどこかに現代人が忘れている「優しさ・誠実さ」が必ず描かれていて作品を読み終わるとほのぼのとした心地よさが残り、次の作品へと誘われていく。

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