2015-02-23 本條 拓さん 兵庫県 磯野員昌が魅力的である、作者の思い入れ共感が深いゆえか。光秀との友情も美しい。丹波京の構想もなかなかの名案と納得できる。本能寺後の光秀の鬱陶しさ、逡巡の理由を朝廷崇敬と妻ひろ子の秀吉への嫌悪感に求めたのは一つの説として一考に値する。最近では山本兼一の『信長死すべし』や加藤廣の『信長の棺』や葉室麟の『風の軍師』に比肩し得ると思われる。発想の奇抜さでは上田秀人の『天主信長』にも劣るが、人物創造にしっとりとした落ち着きがある。著者の人生のまっとうな、不器用な、思いやりに満ちた、暖かな歩みがしのばれる。この次は、十分に手間ひまかけた長編で、この作者の世界に浸りたいと思わせる。
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