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同性婚
著者名:南 和行

2015-07-21 あべさん 静岡県
私は,大学の卒論で「セクシュアル・マイノリティとの共生」を論じたことがある。そこで知人のゲイ当事者から聴きとりを行うと,彼らが希求する社会環境の延長線上には「同性婚」の存在が挙げられていた。そんな声もある中で,「法」は彼らをどのように捉えるのだろうか。本書は「同性婚は人権である」という筆者がゲイとして生きた軌跡,また弁護士として民法および憲法の本質に迫る洞察を網羅している。このエッセンスは,現代日本の婚姻制度に潜む”当たり前”を再考する格好の契機を供してくれる。単に「理解」や「寛容」に留まることなく「受容」が促され,そして同性婚が「普通」になる。筆者が同性カップルにとっての同性婚を「柔らかいソファ」と表現しているように,同(両)性愛者を包摂する社会が,間もなく日本にも訪れるのではないか。本書に目を通すと,法における同性婚の許容性や必要性だけでなく,そのような期待さえもが心中を駆け巡る。

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