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 | 文芸書(文庫を除く) 農ガール、農ライフ 著者名:垣谷美雨 | 
 | 2016-12-05 秋田浩道さん 兵庫県 人は一人では生きていいけないと言われている。主人公の久美子は派遣切りされて恋人にはふられて元々親はいなくてまさに一人になってしまった。追い打ちをかけるように住むところもなくなってしまいそうになった。孤独だけではなく底の抜けた人生になってしまった。暗澹たる思いが心を占める。彼女をそういう境遇に落とし込んだのは人であり、そういう境遇から抜け出すことに手を貸してくれたのも人でした。作者は文中で「中学校や高校で生き方を教えてはくれないし、教えてくれていても当時は聞く耳を持っていなかった」と述べている。私も同感だ。こんなにも人生が辛いなんて、そうして失敗し立ち直ることができないなんて。後悔の毎日です。でも作者は久美子にぎりぎりのところで手を差し伸べている。それは久美子が一歩踏み込んだ時でした。プライドを捨てて捨て身になって人に当たったときに人生が開けている。もちろん現実はそううまくはいかないでしょう。でも一つのヒントを与えてくれている。鎧を着ていることも大事だが、かなぐり捨てて、「助けて!」と叫ばなければならない時がある。助けてもらえない時のほうが多い。畑を貸してくださいと一軒づつ回っていってもけんもほろろに断られている。しかしいよいよ住むところがなくなったときに久美子が学生時代から一度も連絡を取っていない先輩に電話をするときとか、畑で見知らぬおばあさん冨士江に声をかけられたときなどは、その鎧をかなぐり捨てているからなのでしょう、人の温かさを知ることになる。
生きるということは、鎧を着ることも大事だけれど捨て去ることが出来るのも大事だと教えてもらいました。
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