2017-02-08 夏の雨さん 埼玉県 明治神宮に参拝すると、その沿革を記した掲示がある。そこにはこの地が井伊家の下屋敷址ということが記されているが、じっくりと読む人はあまりいないのではないかと思う。
ましてや本殿を囲む森閑とした神宮の杜について、ここが大正期に造営されたと知る人も少ないのではないだろうか。
その事実を知ると、壮大な計画や造営に驚くばかりだ。
ではそれはどのように作られていったのか。
直木賞作家の朝井まかてさんはその過程を実に丹念に描いていく。
これは小説であるが、そこには多くの事実が描かれている。だから、巻末につけられた「参考文献」の数々を今回はじっくり見た。
それらの中から何を描き、何を省略し、何を描かなかったか。
明治神宮がどのようにして造営されていったという記録というより、その周辺で蠢く訳ありな新聞記者亮一を配することで、朝井さんは明治天皇という幕末から近代国家を成立させた帝の思いとその思いのもとに生きた明治の人たちの姿を描いていったと読める。
つまり、この作品は朝井さんの「坂の上の雲」ともいえる。
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