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小説(文庫を除く)
崖っぷち町役場
著者名:川崎草志

2017-03-04 ぽんぽんさん 兵庫県
 私は次の春から役所の職員としての公務員生活が2年目に入ります。本屋でどの本を購入しようかと様々な本の表紙や帯を眺めているときに、この本が目にとまりました。
 働いている役所は決してこの本に出てくる『町役場』ではありません。しかし、主人公がちょうど私と同じ2年目に入るところであったり、現在の自治体が直面する『人口減少』『魔の谷』など様々な問題は読んでいて考えさせられるものでした。特に推進室に所属する北室長や一ツ木君、前町長と本倉町長、そして主人公・・と、様々な行政側の人間がそれぞれに思い描く町の未来像が錯綜する様がとても面白く感じられました。どれが正解なんて誰にも分からない、ましてや数は少なくともそこに住んでいる町民がどう感じ取るかなど分からない、そんな中で手探りで町の問題を解決する推進部を見ていると、私も行政の人間として住民の皆さんのために頑張ろうと奮起させられました。
 なによりこの物語で気に入ったところは、推進部が解決したその後が描かれていないところです。原因も分かった、対策もした、しかしその後誰がどういう風に受け取ったのか、幸せに終わったのか、それは想像するしかありません。それは実際に1年間働いた未熟な私も感じ取ったことでした。そういったところがさらに考えさせられる、よい物語であったと思います。
 行政側であっても住民側であっても、共に手を取り自らの住む街のために前向きに、積極的に動いてくれるようになってくれるようになれば良いですね。

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