2018-07-15 アクサスさん 東京都 イケメン独身男が一人の娘を家族として共同生活を始める…こういったあらすじで始まる「家族の形」を探る文芸・映像作品は半世紀に渡り次々と生み出され、近年だけでも十指に余るだろう。
「兄」の忘れ形見である「娘」の存在により、取り返せない過去を新たな形の未来として取り返そうとする主人公。血縁関係の有無と家族の絆との間で生じる葛藤。過去を封じ込めて未来を変えさせまいとする人々との権謀術数が絡み合うミステリー要素、コミック的キャラクター配置と人物設定、シングル親の悲喜こもごもから現代家族・家庭・学校機構にまつわるエピソードも随所に埋め込まれる。ともすれば室内だけで完結しがちな題材にもかかわらず、視点も幅広い。丁寧に描写される主人公と彼を取り囲む人物の人生と絡めながら、読者は新しい家族が生まれる過程を追体験することになる。結末は、ある意味なにひとつ解決されていない。それどころか、未来の問題は山積している。にもかかわらず、登場人物たちの未来の生活を想像させる実に爽やかな読後感。
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