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壬申の乱と関ヶ原の戦い
著者名:本郷和人

2019-01-04 タンタンさん 三重県
私が勤務している会社のすぐ近所に持統天皇の遺跡(小さな神社)があり、個人的に御利益があったので時々参拝してまして、壬申の乱を一度研究してみたいと常々思っており、書店で見かけて買いました。古代から近世まで、必ず関ヶ原で敵対勢力が激突しているという非常に謎な内容で、著者の鋭い推理・鑑識眼と史実研究に裏付けられた確かな検証作業によって今まで見えなかった稜線がはっきりと見えてきて、その謎解きが痛快で一気に(3日で)読んでしまいました。読み出してすぐに、これはかなり面白い本だ、ということがわかりました。鎌倉から室町になりなぜ足利が京都へ行ったのかも疑問でしたが、この本で疑問解消しました。一番知りたかった壬申の乱は、関ヶ原内容に比べるとやや弱い気がしましたが古代の話なので限界があるので仕方ないと思います。それでもよくわかりましたので助かりました。この著者は文章もうまいしリズムもよいし、何より読みやすく、読んでいて言葉にひっかかりが一度もありませんでした。つまり完成度が非常に高い。歴史の醍醐味がこれでもかとばかりに読者を襲う。実によくできた本です。とくに最終章はすばらしい。この著者の教養知見が尋常でないことを知り、読後は深い共鳴を得られます。ここ最近読んだ本では文句なくこの本が、WINNERです!

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