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手塚治虫傑作選「戦争と日本人」
著者名:手塚治虫

2019-05-25 真砂勇吾さん 神奈川県
マンガはいまや日本人にとって、あるいは世界の人々にとって単なる娯楽ではなくなり、文芸作品としての地位を獲得しつつある。書店では毎日のように新しい漫画が発売され、その場で全巻を大人買いしたくなるような面白い作品もある。しかし、現代の漫画の中で今から100年後にも残るような、古びることのない洞察に満ち、血湧き肉躍るような生命力を持った作品はどれくらいあるだろうか?第二次世界大戦を生き抜いた手塚治虫は『ブラック・ジャック』を代表として「人間が生きることとは、死ぬこととは、どういうことか」という、時代が彼に与えた使命とも言うべき問題に真摯に向き合い続けた。戦争が手塚の心に残した痛みの意味を見つけるために、彼はあまりにも多くの作品を描かねばならなかった。「戦争と日本人」という、作者が生涯にわたって描いたテーマをきっかけとして、時を越え世代を超えて読み継がれる手塚治虫の名作に触れてみるのはいかがだろう。

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