2019-06-25 鉄人28号さん 宮崎県 真の正義、武士道とは何かということが問いかけられた大作である。多聞が欅屋敷を訪ねて元妻に送金しているのは何故か、藩主国入りの時に何があったのか、多聞は農民の怨嗟の的となりながらも何故、「鬼多聞」を貫き通すのか、彼の志はどこにあるかということに惹かれ、わくわくしながら読み進んだ。 多聞の志を今の世の中に重ね合わせて見てみると、組織のトップや上司の意向に唯々諾々と従うことが本当に忠誠心、正義と言えるのかということを考えさせられる。昨今、省庁の官僚が、国益よりも省益を優先して、データ改ざんや隠蔽、虚偽答弁を行うといった不正が頻発している。彼らには、身命を賭して正義を貫き、この国を正しい方向に導こうという気概はないのだろうか。多聞の爪の垢を煎じて飲ませたいものである。
解説にある「鬼の生きざまを通して正義を問う快作」というタイトルの言葉がこの小説の核心を突いている。
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