2020-04-06 のはらさん 東京都 「さんかく」のバランスはとてもあやうい。ほんの少し、心に遊びがあると、歪みそうな、壊れそうな「さんかく」が、ゆらりとしながら、もちこたえてくれる。でも、そのバランスはずっと続かないことを読んでいる私たちも知っている。
そのことにドキドキしながら、読み進んでいった。どんどん、香りや匂いや、触感や体温が伝わってくる。京都のまちの風や雨の肌にあたる感覚が、伝わってくる。食べたものが、咀嚼したものが
自分の中に入ってくる。
三人の登場人物がかわるがわる、自分に近づいたり、遠ざかったりする。
ゆらりゆらりと。
そして、「さんかく」は静かに消えたのか?たぶん消えていない。一辺が見えなくなったのは、あとの二辺がその姿を今は覆ったからに過ぎない。一辺は、そこにあることを忘れない。
| |
|