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 | 文芸書(文庫を除く) アーモンド 著者名:矢島暁子/ソン・ウォンピョン | 
 | 2020-06-22 あんさん 北海道 日々当たり前に感じている嬉しさや悲しみがどれだけ奇跡的なことか、そして何気なく過ごしている平凡で平和な毎日は、ただのあり得ない偶然だったのだと思い知った。涙を流すことがこんなにも特別なことだなんて、この本に出会わなければ一生知ることはなかっただろう。
人間は、感情を持つ唯一の生き物だと言われるが、その意味を考える人は少ない。生まれ落ちたその瞬間から泣くという特権を行使し、時に笑い、怒り、人を好きになったり嫌ったりする。あまりにつらいことがあった日には、感情なんて無くなればいいのにと思うことはあれど実際になくなることはないし、感じなくなる恐怖は想像するに難い。それを見事やってのけたのが本作のように思う。
命の尊さと愛の重要性を示唆しつつ、傍観者に対する強い「違和感」を訴える本作を、これからの人生の節目で読み返すことを楽しみにしたい。その時の自分が、傍観者でないことを願う。
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