2021-01-10 杉江 祐子さん 岐阜県 『源氏物語』が投げかける人生の課題は、一言で言い表せない。それゆえ氏が提示した13の視点は、物語を読み解くための最高の切り口である。特に、明石の入道の人物造形を分析した章段が圧巻。源氏の目を通して再評価された入道の娘に託した夢が、一族を繁栄に導き、源氏の王権を復活させる。その後、人生の舞台から静かに身を引く彼は、源氏が3歳の時に病死した母桐壷更衣の血筋なのだ。脇役をおざなりにしない紫式部の筆の非凡さを指摘する氏の確かな目には驚くばかりだ。そして、このコロナ禍だからこそ、今も昔も我々を難局から救うのは、夢を貫く強さと理屈を超えた愛であると信じたい。
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