書評 投稿ページ
投稿閲覧
ジャンル・タイトル・著者名
新書
女たちの本能寺
著者名:楠戸 義昭

2021-02-19 sacraさん 神奈川県
戦国時代の女性を扱った本をこれまでも多数読んできましたが、取り上げられた女性たちの顔ぶれがいささかいつもと異なっていること、ガラシャ夫人・光秀贔屓の私としては、煕子夫人が詳しく扱われているのが珍しく、また嬉しくて、購入しました。存在感と輝きを放つ女性たちが、信長と光秀を何重もの深い縁で絡めていることには驚きました。多くの資料と、筆者がコロナ禍の中に敢行した取材を基に、主君殺しとしてラベルを貼られていた光秀にゆかりのある女性たちに光があてられることは、勝者の歴史である三英雄史観を見直すことにもつながり、今の時の流れによく合っています。また、大河ドラマの影響ともあいまって、光秀その人への関心も一層強くなりました。戦国時代は知れば知るほど、疑問がわいてきます。春日局の栄達でこの本が終わることで、改めて人の世の因果を思い、また、痛快な読後感となりました。




戻る