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ジャンル・タイトル・著者名
小説(文庫を除く)
銀杏手ならい
著者名:西條 奈加

2021-07-13 西崎るり子さん 東京都
今風で言うならバツイチ出戻りの主人公・萌が、試行錯誤しながら手習い所の教え子たちと心の交流を深め、成長していく姿がほのぼのと描かれており、心が和む。萌自身が捨て子だったという暗い過去を持つが、育ての母親が自分を愛してくれたという感謝の念しか持っていない。これが、この小説全体を明るいものとし、悲愴感を感じずに読める。
感涙にむせぶほどの感情起伏や抱腹絶倒の笑い、ハラハラする緊迫感はないのだが、なぜか心が疲れている時でも楽しく読める魅力がある一冊。恐らく、安心感のあるストーリーと心癒される人間描写のためであろう。子供たちだけではなく、お互いに助け合って生きる大人同士の交流に、心身共に疲労感を感じている現代の読者はある意味救われるのだと思う。



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