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幻の本土上陸作戦 オリンピック作戦の全貌
著者名:NHK「果てなき殲滅戦」取材班

2022-01-04 ガルさん 福岡県
NHKスペシャルで見るまで、この作戦の存在を知らなかった。
日本が降伏をしなければ、さらに原爆が落とされただろうという事は漠然と知っていたが、まさかここまでとは思わなかった。唯々、唖然とするばかりだ。実行されていれば、ホロコースさえ比較にならない規模の、桁違いの大量虐殺が起きていたということになる。

それでも、先に手を挙げたのは日本だという事実を、絶対に忘れてはならない。本書でも指摘されているが、アメリカの狂気をここまで焚きつけたのは、紛れもなく日本の狂気なのだ。

最も顧みなければならないのは、より全体主義に陥りやすい特異な日本人の集団性ではないか。我々にとって、民族性の根幹に関わる部分は、どうしても直視されない。戦後の奇跡的復興など、良い面に限って詳細に分析・評価されるばかりである。

自分が所属する共同体の不文律を、すべての行動の優先規範としてしまう。その性質がもたらす問題は、いじめや企業や官僚の不祥事などいくらでもあるはずだ。

日本の共同体は、1980年ごろを境に急速に崩壊していったように見えるが、その共同体的性質がなくなったわけではない。今でも形を変えて我々日本人の中に息づいている。三つ子の魂百までの諺通り、性根は変わらない。狂気の戦争は、再び我々の中から染み出した油から燃え始める。

それを阻止するためには、常に我々は自身の性根を常に顧みながら考え、判断し、行動しなければならない。そのような視点で日本人が犯した過ちについて徹底レポートした書籍が出ることを望んでいます。









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