書評 投稿ページ
投稿閲覧
ジャンル・タイトル・著者名
新書
世界を動かした日本の銀
著者名:磯田 道史/近藤誠一/伊藤謙 ほか

2023-05-12 岡崎 博之さん 岡山県
 妻が亡くなり戸籍を取り寄せると、祖先が石見小笠原氏で16世紀の戦国時代に石見銀山を管理していたようだ。石見銀山は大内氏と尼子氏と国人の小笠原氏が争い、毛利、豊臣から最終的に徳川が所有することとなった。図書館で関連本を読み漁っている時に、本屋でこの本を手にした。
ベースが講演記録なので読みやすいし、磯田道史氏の「石見銀山は、日本が世界最貧国から抜け出して経済大国化に踏み出すきっかけとなった。」という視点ははじめて目にした。また、地域のユネスコ協会を再建した者として「世界遺産登録の舞台裏」は一度落選し再申請して登録された経緯の話は面白かった。文化的歴史的遺産は「見せ方」が難しいが、直木賞受賞作『しろがねの葉』(千早茜作)のような作品が出てきているので多様な見える化ができると思う。石見銀山を戦国武将・小笠原氏に結びつけてドラマにして解説すれば良いが、残念ながらそれに関する文献はほとんどない。


戻る