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アイヒマンと日本人
著者名:山崎 雅弘

2023-10-01 BFEWさん 大阪府
ナチの高官にしてかつ超法規的にイスラエルという新生国家に処刑されたアイヒマンの経歴と、アイヒマンを巡る裁判の過程がわかりやすくコンパクトに説明されています。またアイヒマンの裁判を傍聴したユダヤ人哲学者ハンナ・アーレント氏、犬養道子記者、村松剛記者の裁判後記について、適確に分析されていると思いました。ハンナ・アーレント氏の「悪の陳腐さ」という言葉が巻き起こした論争については数多くの著作がありますが、日本人の中にあるアイヒマン的な心性について注目したものは少ないと思います。日本人に関して深く洞察できる立場にあった犬養道子氏の苦悩、村松剛氏の正論とその裏にある心情に心を打たれました。

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