2024-12-05 三木一之さん 大阪府 昨今、SNSによる犯罪や首長選挙の戦術が社会問題となり、テレビ番組でも様々なコメンテーターは登場するが、そこに歴史学者はいない。本書を読むと、歴史学者は、現代の社会問題解決の糸口を示す任務を背負っていることが分かる。個人尊重が闊歩する世にあって、社会とは何かを再認識する必要がある。著者本郷和人教授の言われる「必要とされたものが勝ち」であり、また、正しいから勝ったのではなく、勝ったから正しいとされる、人間社会。良識よりも今の常識を重んじる社会。それでは、いつまでたっても人の成長と進化はない。このままでは、AI(人工知能)という猿の惑星の時代が来ることを避けることはできない。人の本質を知り、何を採り、何を捨てるかを模索し、探求するための道具として、歴史に学ぶことは極めて有効である。それは、単なる趣味としての知識ではなく、人生の指針となる。本書は、そのことを示唆しており、単なる歴史書ではない。
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