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ジャンル・タイトル・著者名
小説(文庫を除く)
国士
著者名:楡 周平

2025-07-07 岩上義彦さん 東京都
カレー専門店「イカリ屋」の老創業者・篠原は、フランチャイズ店と団結しチェーンを日本一に押し上げた。加盟店のオーナーには、リストラなどの苦渋を味わった人が多かったが、篠原への信頼は厚く彼らは自信を取り戻していった。一方、篠原は将来を見据えアメリカ進出を決断する。それを機に、自らは経営を外れ、プロ経営者を招く。大手商社との協約を取り付けるなどすぐさま成果を表す新体制だったが、強権的な社内統治、陰湿なフランチャイズ潰し、品質無視の原価削減など、構造改革を理由にした非情な経営姿勢に、社員や協力店は次第に不満を募らせてゆく。人口減少時代を迎え国内需要が先細る中、日本企業はいかにして生き延びるのか?そんな大命題を前に著者が問うているのは、経営効率ではなく、経営者の品格であり、経営の美学である。競争と変革を口実に経営学的正しさを強弁し、社員や下請けを切り捨てる経営は、果たしてサステナブルと言えるのか?六方良しの経営、経営者のノブレス・オブリージュこそ、人新世における企業経営の活路だと信じたいとあり、読み応えがありました。

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