書評 投稿ページ
投稿閲覧
ジャンル・タイトル・著者名
文芸書(文庫を除く)
東京クライシス 内閣府企画官・文月祐美
著者名:安生正

2025-07-13 岩上 義彦さん 東京都
東京クライシスは未曽有の災害に見舞われた東京の混乱をきわめてリアルに描いている。グズな政府の対応が危機管理能力のなさを暴露……という展開は、小説であることを忘れる。そんな中で孤軍奮闘するのが内閣府企画官・文月祐美である。災害対応の専門家として、毅然と国難を乗り超える。 国民に目を向けず、「政治そのものが目的になっている」内閣に対し、現場で自ら判断し対処する人たちがいる。内閣府の広瀬伸太郎政策統括官は元内閣官房秘書官の加藤孝三に協力を要請した。日本海上の温帯低気圧と関東地方の南東海上にある台風9号のために関東地方に大規模な豪雨の発生が予測されるため、官邸のコントロールが必要になったのである。それとは別に、上空に流れ込んだ強い寒気により発生した竜巻が東電新野田変電所を襲い、千葉県内に大規模な停電が起きていた。そんな中、総理大臣官邸内の危機管理センターに、荒川の堤防から墨田区に河川水が流れ込んでいると連絡が入った。やがて堤防が崩れはじめ、避難する人々に濁流が襲いかかる。首相らの場当たり的な対策に振り回されながら、「首都崩壊」の危機に立ち向かう防災担当企画官、文月祐美の活躍を描いた東京クライシスは読み応えがありました。

戻る