




両親不在、
血は繋がっていたり、
いなかったり。
ちょっとフクザツなお家事情の
中山家は叔父兄弟を
甥姪の4人ぐらし。
それでも歪な「家族」は、
なんとかうまくやってきた。
──
好きと告げ、
キスするまでは。
季節は巡り、駿人14才。
中学3年生を目前にして
高校へは行かず
就職すると言い出す駿人に、
見かねた優士は
コウの友人・日高を
家庭教師として
中山家に招き入れることに。
しかし日高から
「おしてダメなら引いてみろ」と
アドバイスを受けた駿人は、
優士にそっけない態度で
接してくるようになり…?
「俺には無理だ」
優士から発された強い拒絶に、
もとの家族に戻った
フリをする駿人。
おかしな空気がただよう中、
中山家を揺るがすさらなる嵐…
母、帰郷。
今は海女をしているという母から、
ここを出ていっしょに
暮らさないかと
と問われた駿人は……。
時はさかのぼり、
駿人が中山家を出て
少し経ったころ。
このままの関係で
幸せだとかみしめていた矢先、
どう転んでか、
コウと「キスを許される関係」に
なってしまった日高。
わけもわからぬ夢心地と、
あふれだす欲望。
気がつけばコウとは、
身体をつなげる関係に
なっていた。
たぶん、人生で最高な時間。
なのに日高の心には、
何故か小さな不安が
降り積もって…?
中山家を出て、
2年ぶりに帰省した駿人は
すっかり大人びていた。
もうあの頃のように
優士に想いをぶつけてはこないし、
射抜くような視線も向けてこない…。
諦めのような、
寂しさのような、
煮えきらない気持ちに
突然知らされた
駿人のアメリカ行きの決意。
駿人へのこの感情を、なんと呼ぶのだろう?
優士はついに、その名を知ってしまった。
アメリカへ旅立つ駿人と菊花を見送って
家を手放すことにした優士とコウは、
それぞれ、ひとり暮らしをはじめる。
けれど家族の面影がなくなった生活に優士はしだいに憔悴して───。