「ドールハウスの惨劇」 遠坂八重

第25回ボイルドエッグズ新人賞受賞、衝撃のミステリー!

第25回ボイルドエッグズ新人賞受賞、衝撃のミステリー!

あらすじ

 鎌倉にある名門・冬汪高校二年の滝蓮司は、眉目秀麗だが変人の同級生・卯月麗一とともに、生徒や教師から依頼を受け、思ってもみない方法で解決を図る"学内便利屋"として活動している。その名も「たこ糸研究会」。会長は蓮司、副会長は麗一。取り壊しの決まっている古い校舎の一角が、ふたりの部室にして"事務所"だった。

 ある日蓮司は、道を歩けばスカウトが群がり学内にはファンクラブすら存在する超絶美少女、藤宮美耶という同級生から、ある依頼を受ける。

 その依頼とは――。

 蓮司と麗一が依頼を引き受けたがゆえ、惨劇の幕は開く! 舞台は、鎌倉に佇む白亜の豪邸。ふたりは特異な家族にまつわる、おぞましい事件の真相をひもといてゆく。

 新進気鋭の著者が放つ、渾身のミステリー!

登場人物紹介

滝蓮司 たきれんじ

冬汪高校2年。”学内便利屋”のたこ糸研究会の会長。秀才をあつめたA組に在籍。困ったひとを見ると放っておけない性格で、人助けはもはや趣味。もしくは主食。小柄だが身体能力は高め。父方の祖母がイギリス人のクオーター。

卯月麗一 うづきれいいち

冬汪高校2年。たこ糸研究会副会長。容姿端麗、高身長と一見ハイスペック男子なのだが、それを裏切る超変人。私服はほぼキテレツな名前入りのジャージ。正直、成績はふるわないが、天才的なひらめきと奇人的な執念を兼ね備える。

  • 藤宮美耶 ふじみやみや

    冬汪高校2年。学内には50人からのファンクラブが存在し、街を歩けばスカウトが群がる超特級美少女。両親は離婚するも、母から美への潤沢な投資がなされている。双子の姉。

  • 藤宮沙耶 ふじみやさや

    冬汪高校2年。全国模試の上位者で学年トップの成績を誇るが、それは母の異様な管理下で勉学を強制されているがゆえ。美貌の姉とは比べるべくもなく地味な存在。双子の妹。

書店員さんコメント

本読みのプロの皆様からコメント続々

  • 眩い青春ラブコメと思わせてなかなかエグイ描写あり、
    読み手の勝手な思い込みを逆手に取った展開、
    そして、見事なタイトル回収といい
    どうして、どうしてたいしたミステリーです。
    読みやすいし、スーッと入ってくる文章といい自分好みです。

    本の王国グループ 宮地友則さん

  • このおぞましい真実は誰が想像できたろう。
    ほろ苦い青春ミステリーと思いきや、まさかの展開が……翻弄された!

    ジュンク堂書店滋賀草津店 山中真理さん

  • まさに惨劇としか言いようのない物語だった。
    物語がどう展開されていくのか、ヒントはありつつも、先が読めず、ただ流れに飲み込まれていくようだった。
    シリーズ化も決まっているとのこと、楽しみです。

    東京旭屋書店新越谷店 猪股宏美さん

  • これはもう一気読みしかできないミステリーだ!
    最後の最後まで伏線がめぐらされている。
    双子の姉妹から目が離せない!

    うさぎや矢板店 山田恵理子さん

  • これは僕らが待ち望んでいた「事件」だ!
    ままならぬ恋路があれば、誰もが抱える秘密がある。
    美醜が歪み交錯する光と影。純粋無垢な日常に芽生える狂気。
    テンポよく繰り広げられる展開に惨劇を絡ませる筆力は見事・・・
    青春の空気を完全凝縮した鮮やかな闇にざわめきが止まらない!

    ブックジャーナリスト 内田剛さん

  • しばらくぶりになかなか先の読めないミステリでしたが、主人公・蓮司たちと共に少しずつ全容が見えてくる展開が、勿体ぶる探偵と違ってイライラさせられず、ミステリとしてとても好感を持ちます。
    高校生達の何気なくもかけがえのない日常と、ミステリの組み立てがバランスよく両立していて、青春小説とミステリの両方を堪能できる作品でした。
    新人とは思えない完成度で、今後のシリーズも楽しみです。

    ジュンク堂書店旭川店 松村智子さん

  • 性格、思考が真逆な男子高校生二人の推理劇が爽快でした!
    まさに高校生版ホームズ&ワトソン。
    ふたりの謎解きをずっと見ていたいです。

    紀伊國屋書店福岡本店 宗岡敦子さん

  • 便利屋コンビのさわやかさと、姉妹の運命の壮絶さ。思いもよらない決着点。救いのない結末を、この上ない優しさにつなげる手腕。
    遠坂八重、要チェック!!

    精文館書店中島新町店 久田かおりさん

刊行記念インタビュー

デビュー作『ドールハウスの惨劇』刊行記念インタビュー

―初めての著者インタビューということで、緊張されているようですが…

はい、緊張してます(笑)。 お手柔らかにお願いします……。

―それでは、ボイルドエッグズ新人賞を受賞されたのが5月、ようやく刊行となりましたが、いまの率直なお気持ちをお聞かせください。

率直にものすごく嬉しいです! ありがとうございます。
小説家になるのが、夢でした。何度も新人賞に落選して、さすがに現実を見るべきなんじゃないかと思うこともありましたが、あきらめないでよかったです。
それと同時に、受賞してから刊行までが、何も知らずに自分で想像していたのより、ずっと長くて。改稿だったり、実際に紙に印刷されたものをチェックしたり。色々な作業があって、やっとデビューまで辿り着くことができて、今はほっとしています。

Q:ご家族やご友人など身近な方々は、どのような反応でしたか?

今のところ、報告したのは母と、普通に仕事もしているので、勤務先の人事と上司のみです。
 母には受賞してすぐに話しました。私が小説を書いていること自体知らなかったので、とても驚いていました。父と、兄もいるのですが、ふたりはまったく小説を読まないタイプなのと、なんとなく恥ずかしさもあってまだ話せてません。
勤務先には、副業にあたるので許可を得るために、だいたいの出版時期が決まった段階で伝えたのですが、思っていたよりあっさり受け入れていただけたので安心しました。

―単行本の最後にあるあとがきでも触れられていますが、改めて、本作の執筆の経緯を教えてください。

『ドールハウスの惨劇』は、過去の失敗や反省からできあがった作品です。 私は元々、パニックホラーや破滅的なストーリーが好きで。そういう作品しか書いていませんでした。なんというか…スプラッター系のホラー映画だけは、人より詳しい自信があったので、それが自分にとっての得意ジャンルだと思い込んでいて……。

―なるほど…言われてみれば、ホラーが好きそうな雰囲気は、原稿のちょっとしたところで感じられるかもしれません。

でも、これだ!と自信を持って新人賞に応募したゾンビもの2作が、続けて落選してしまって、それをきっかけに『好きなもの』と『書けるもの』が違うのかもしれない、と考えるようになりました。
ゾンビ、ホラー、スプラッターではなくて。自分の好きな要素、得意だと思っていた要素をいったんぜんぶ排除して、『日常が舞台できちんと救いのある物語』を書こうと思いました。それが『ドールハウスの惨劇』です。
ミステリーを書くのも、学園ものを書くのも、キャラクター色の強い登場人物を描くのも初めてだったので、ほんとうに何から何まで初めてづくしの作品でした。
とても楽しく書けたのですが、正直あんまり手応えは感じなかったので、受賞の連絡をいただいたときは嬉しいより先にびっくりしました!

著者情報

遠坂八重

神奈川県出身。早稲田大学文学部卒業後、一般企業に勤務しながら、小説執筆に挑戦。 2022年、初めて挑戦した長編ミステリー作品である、本作『ドールハウスの惨劇』 で第 25 回ボイルドエッグズ新人賞を受賞した。ぐいぐいと物語を前に進める筆力、エンターテインメント性に富んだ展開、楽しい人物造形が好評を得て、デビュー作としては異例のシリーズ化が決定。続刊は2023年夏を予定。尊敬する作家は、ヘルマン・ヘッセと川端康成。

ドールハウスの惨劇

遠坂八重

ISBN:978-4396636371
四六判ソフトカバー
定価1980円

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