時は戦国、あまたの武将ひしめく北信濃の地。甲斐の武田晴信(信玄)は、今川・北条と盟を結びつつ野望の眼を北に向けた。北信の盟主村上義清に忠義を尽くす須田家の後継満親と、従兄にして刎頸の友でもある須田庶家の信正。川中島に所領を持つ二人の若者は悩み、葛藤する。道は二つ、裏切ってでも生き残りを策すべきか、滅ぼうとも義を貫くか。やがて武田の脅威に抗しきれなくなった時、満親は越後の長尾景虎(上杉謙信)に支援を請う使者に立った……。
1960年、神奈川県横浜市生まれ。早稲田大学卒業。『国を蹴った男』(講談社)で第34回吉川英治文学新人賞を、『巨鯨の海』で第4回山田風太郎賞と「第1回高校生直木賞」を、『峠越え』で第20回中山義秀文学賞を、『義烈千秋 天狗党西へ』で第2回歴史時代作家クラブ賞(作品賞)を、『黒南風の海――加藤清正「文禄・慶長の役」異聞』(PHP研究所)で「本屋が選ぶ時代小説大賞2013」を受賞。最新刊に『天下人の茶』。
仁義なき戦国の世、人は何のために争い、誰のために闘うのか?
己の守るべき場所と愛すべき者たちのために、ただひたすら生き抜く―。
常に死と対峙しながらも一途な想いを貫く男たちの姿が、あまりにも鮮烈で眩しい光を放っている。
壮絶な物語に、心の底から酔いしれた。
(三省堂書店 営業企画室 内田剛さん)
戦国時代、郷土の祖先達が、どのように激動期を生き抜いていったのか、 等身大で伝わってくる感覚―。
須田満親という若き国衆の活躍を軸に描かれる激戦・第四次川中島合戦は、既知の歴史パーツと新たな歴史物語がつながり合い、脳内のシアターに怒涛の迫力映像を映し出す―。
(長野県 平安堂 書籍事業部 長崎深志さん)
川中島の戦いが戦国史に残る激闘の合戦であるならば、本書は戦国小説史に残る傑作である。この戦いで義を貫いた男は謙信だけではなかった。
歴史に埋もれた須田家の物語に、新しい一面を学べ、合戦の醍醐味を味わえる。
(新潟県 萬松堂 中山英さん)
汗や血の匂いまでも漂ってくるほど臨場感たっぷりの描写に鼓動が早まりました。義を貫く弥一郎のひたむきさが爽やかで、思わず応援したくなる!!
(山梨県 柳正堂書店 オギノ湯村SC店 山本机久美さん)
主人公の若武者の生き様に羨望し、感動する。一体どれだけの人間が、今の時代、若武者のように生きられるのか。試されているようにも思う。
若武者の独白「生きて生きて生き抜くことこそが、勝つことなのだ」
それこそがなんとも難しいことなのだと、我が身に感じさせる。
(虎ノ門書房 田町店 根本隆仁さん)
この小説を読むまで、甲冑の音が、馬の駆け抜ける息遣いが、刀と刀がぶつかる太刀の音が、こんなに怖いとは思わなかった。
読み進むほどに、背筋がゾワゾワする感覚に陥った。
(ブックスオオトリ 山口華子さん)