生きることが、それがしの覚悟でござる――

俊英とうたわれた豊後ぶんご羽根うね藩の伊吹櫂蔵いぶきかいぞうは、狷介けんかいさゆえに役目をしくじりお役御免、今や〝襤褸蔵ぼろぞう〟と呼ばれる無頼暮らし。ある日、家督をゆずった弟が切腹。遺書から借銀を巡る藩の裏切りが原因と知る。前日、何事かを伝えにきた弟を無下に追い返していた櫂蔵は、死のきわまで己をさいなむ。直後、なぜか藩から弟と同じ新田開発奉行並として出仕を促された櫂蔵は、弟の無念を晴らすべく城に上がる決意を固める……。

本読みのプロからも絶賛の声、続々!!

人は何度でも立ち上がることができる。 
折れた心も再び燃やすことができる。
決して諦めることはないのだ。
――その力強い想いが胸に沁み入ります。
汚濁の中で咲く蓮の花のように、凛とした物語でした。
 明正堂NTT上野店 金杉由美さん

久しぶりにガツンとやられた気分です。とても満足しました。
主人公とは時代も境遇も違うのに、
『自分は納得できる人生を送っているのだろうか……』と、
ついつい考えてしまう、内面に向かってくる作品です。
文教堂浜松町店 大浪由華子さん

心が清ければどんなことがあってもやり直しができる。
そんな事を思い出させてくれる温かい物語でした。
この物語に出てくる女性がとにかくカッコイイ!!
自分もかくありたいと思いました。
ブックスオオトリ 山口華子さん

すごく良かったです! 死ぬことではなく、
生きることを自分に課した人々の再起が描かれていて、
胸にグッときました!
三省堂書店京都駅店 鶴岡寛子さん

『落ちた花は二度咲かぬ』なんと厳しい言葉でしょうか。
櫂蔵、咲庵、お芳、それぞれが落ちてしまった花を抱え、
再起しようとする姿に胸を打たれます。
潮鳴りがいつしか励ましの声に聞こえる、とても美しいラストに涙ぐみました。
SHIBUYA TSUTAYA  内山はるかさん

どこまで落ちたとしても、決して失くしてはいけないものがある。
登場人物ひとりひとりの言葉に、
生きる意味、人生の重みを感じ、胸が熱くなりました。
死ぬ覚悟ではなく、どんな状況になったとしても生き抜く覚悟が彼らを強くするのだと思いました。
ジュンク堂書店池袋本店 田村友里絵さん

人は絶望から脱け出るたびに高められる。
弱さや 苦しみが人生の糧となり、挫折から這い上がる力となる。
苦難に遭遇した時、心の支えとなる傑作である。 
萬松堂 中山 英さん

一度落ちた花でもまた咲ける。
どんなことでも生きていればやり直せる。そんな著者からの今を生きる人たちへの優しいエールを感じさせる。
海に行くたびに『がんばろう』って思わせてくれる、素敵な作品です』
虎ノ門書房田町店 根本隆仁さん

今も昔も人は真摯に努力していけば、必ず報われるものなのだと思いました。
葉室さんの流れるような文章にどんどん引き込まれ、羽根藩の世界にどっぷりつかりました。
有隣堂厚木店 佐伯敦子さん

潮鳴りとはその人の心の声なのでしょうか。 
『蜩ノ記』と同じく武士の義と信念を深く感じました。
主人公の櫂蔵の〝花〟が誰かの胸に咲くことへの、
期待と清々しさをもって読み終えました。
紀伊國屋書店グランフロント大阪店 奥野智詞さん

まさに不屈の精神で這い上がる櫂蔵の姿は美しいの一言です。
愛する者たちのため、その思いを遂げるため、
『生きる』事を決意するシーンには涙が溢れました。
目を伏せ逃げることよりも、立ち向かっていく強さに、きっとたくさんの人が勇気をもらえると思いました
紀伊國屋書店京橋店 柳瀬雅美さん

同じ女性として染子とお芳の二人がとても好きです。
この二人が影のヒーロー!!
「落ちた花はおのれをいとおしんでくれたひとの胸の中に咲くのだと存じます」
というセリフが好きです。
紀伊國屋書店横浜店 古瀬藤絵さん