推薦の言葉

私たちが推薦します!(五十音順・敬称略)

リンボウ源氏は、いまぞ清冽な水となってほとばしる

池内紀(ドイツ文学者・エッセイスト)

林望はのんびりした風貌のマメな人。忙しいフリをする怠け者。ひとり独自の世界をもつ一方で、そっと自分を抜け出して一つのセリフにも同調できる。おもえば古き世の長大な物語の二人といない案内人だ。リンボウ源氏は地下にしみ、くまなく生命の根をめぐり、いまぞ清冽な水となってほとばしる。

以後、「林望源氏」こそが唯一無二の現代語訳源氏となるであろう

鹿島茂(フランス文学者・明治大学教授)

翻訳は「等価」を以て原則とす。厳密な解釈で原文を量り、それを明晰な現代文に移し替えるのである。だが、言うは易く行うは難し。とりわけ『源氏物語』においては、前者を欠いた文学者訳か後者のない学者訳しか存在しなかった。しかし、奇跡は起るものらしい。厳密な古典解釈者でありながら明晰な現代文の書き手である林望氏がこの難事業を成し遂げたからである。以後、「林望源氏」こそが唯一無二の現代語訳源氏となるであろう。

大胆で新鮮な「謹訳」によって、「源氏物語」の新しい読み方が出現した

黒井千次(作家)

完成直前の『謹訳 源氏物語』の冒頭〈桐壺〉の巻のゲラを拝見した。訳文に不思議な透明感とスピードがあり、それが話を一気に読み進めさせる力となっている。注釈や説明が省かれ、必要なものは本文中に消化・吸収されているためもあるだろう。古い言葉の襞を探ってそこにあるものを現代に再現するのではなく、逆に現代の言葉を古い王朝生活の空間に放ち、そこから聞こえる新しい響きに耳を澄ます、とでもいった「源氏物語」の新しい読み方が、この大胆で新鮮な「謹訳」によって出現するに違いない。

これぞ声に出して読みたい源氏物語訳。これなら全巻読破できる!

齋藤孝(明治大学教授)

のどごしがいい上に、コシがある。しかも香り高い。これぞ声に出して読みたい源氏物語訳だ。流れのいい日本語がどんどん心にしみこんできて、人物が生き生き動き出す。「これなら全巻読破できる!」と確信できる自然さだ。
国文学者にして作家である林望先生にしかなしえない、正確かつセンスのいい名訳の誕生を祝福したい。この名訳で源氏物語の精髄に触れ、人生の味わいを知れば、「日本に生まれて本当によかった」ときっと思えるはずだ。早く全巻を通しで読みたい。

これはどう考えても「小説」なのです。しかも、とびきり面白い!

檀ふみ(女優・エッセイスト)

「名訳」と謳われる「源氏物語」は数あれど、「謹訳」はその範疇には入りません(多分)。だって、これはどう考えても「小説」なのです。しかも、とびきり面白い。つねづね、源氏はとんでもないヤツと睨んでいましたが、リンボウ先生の目は、源氏の魅力にもくらんでいません。いやはや、面白い!

この物語は、さらなる歳月を生きるために新しき語り手を選んだ

西村和子(俳人)

古典学者としての研鑽と、表現者としての才能と、生活者としての春秋とが熟した時、「源氏物語」という巨星に導かれたのは林望氏の運命だ。謹訳が完成する時、私たちは知るであろう。千年の命をながらえたこの物語が、さらなる歳月を生きるために、新しき語り手を選んだのだということを。

千年前の宮廷小説が現代のラブロマンスとしてよみがえった。
これは林さんの名作である

半藤一利(作家)

千年前の宮廷小説が現代のラブロマンスとしてよみがえった。わが大学時代、授業でチンプンカンプンであった古典が、主語はきちんと明示され、文章は短く簡潔、すらすらと読める。その上、たとえば源氏が初めて出会った紫の上「顔立ちはいかにもけなげな美しさで、眉のあたりはふわりと煙るようにやさしく……」と、いとも雅びやかに訳されている。これは林さんの名作である。

源氏を愛するすべての人必読の書

坂東眞理子(昭和女子大学学長)

源氏物語は美しく才能あふれる光源氏の生涯と、多くの女性たちの愛や悩みが美しく描かれ、その背景として宮廷人の趣き深い生活ぶりと相まって、今も日本人の心を捉え、美意識のスタンダードとなっている。この日本の至宝をかのリンボウ先生が謹訳された。リンボウ源氏からは原作に対する訳者の深い愛情と敬意がにほい立ってくる。源氏を愛するすべての人必読の書である。

古典学者の正確な解釈と、読んで心地よい文体。
うれしい「リンボウ源氏」の誕生である

松平定知(元NHKアナウンサー)

「謹訳」である。「謹訳・源氏物語」である。「原典の持つ深く豊かな文学世界を謹直なる態度で十分に解釈し味わい尽くしたいという思いを込めて」そう題したと訳者は仰る。古典学者・林望さんの正確で厳密な解釈と、声に出して読んで心地よい作家・リンボウ先生の読みやすい文体。難敵、「原典・源氏物語」に何度となく跳ね返されてきた多くの人々にとって、極めてうれしい「リンボウ源氏」の誕生である。

格調の高さと読みやすさを両立させた、現代語訳の傑作

黛まどか(俳人)

光源氏という一人の男の葛藤と、源氏に見出されてしまった女たちの恍惚と不安が、四季折々のシーンの中で狂おしく綴られていく。
美しく優しい大和言葉で表現されているので、古典を読む時にしばしば体験するつまづきがない。そして、歌の余白に込められた登場人物の思いを丁寧に紡ぎ、和歌や引き歌の効果が余すところなく発揮されている。ゆえに読者はたちまち平安の世に身を置き、衣擦れの音や香の雅なかおりに包まれる。
格調の高さと読みやすさを両立させた『源氏物語』現代語訳の傑作である。

本書の最後までたどりつくと、もう次巻が待ちどおしくてたまらない

三浦しをん(作家)

光源氏って、いやなやつ! でも、憎めないところもある……。などと思いながら、すらすら読むことができました。本書の最後までたどりつくと、もう次巻が待ちどおしくてたまらず、「そうか、源氏物語をリアルタイムで読んでた平安時代のひとたちも、きっとこういう気持ちだったんだな」と実感しました。『謹訳 源氏物語』は、「もしかしたら、私も原文をすらすら読めるかも」とうっかり思わされてしまう魅力にあふれています。

均整と華やぎのマスターピース

ロバート キャンベル(東京大学教授)

『源氏』には口語訳がいくつもある。白檀のような甘い香りを原文は放っているが、読めないから訳者は奮闘する。が、ふつう、忠実に書こうとするほど甘い香りは逃げ、自由に書けば時代の色もふっとんでしまう。読者の幸福は、いつもこのきわどいバランスの上に揺れている。そこへきて今回の『謹訳源氏』だ。ずんずん読めてしまう。上手いのに、薄っぺらなところはどこにもない。光源氏の危なげな風情、指先、夜歩き、出会い、そして女どもの果無い張り合いなどまるで洋画を観るようで、じっくりと重厚に、二、三時間ならあっという間に流れていってくれるのだ。和歌の一つひとつ、原文が入るから耳に響き、現代語訳も字幕のように読めていっそう愉しい。均整と華やぎのマスターピース、未知の興奮を呼ぶに違いない。

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