ミイラ化した死体は何を語る?
引きこもりを抱えた家族を襲う悲劇。
彼らは被害者か、それとも――。
光崎教授が抉り出す、深い闇とは?
死体は嘘を吐かない――傑作法医学ミステリー第5弾!
■あらすじ
浦和医大法医学教室に餓死した遺体が運び込まれた。亡くなったのは40歳の独身女性で、死後3週間が経っていた。まだ4月だというのに埼玉で見つかった4体目のミイラ化死体だ。埼玉県警の古手川によると、女性は大学受験に失敗して以来20年以上引きこもっていたという。同居していた70代の両親は先行きを案じ、何とか更生させようと民間の自立支援団体を頼ったが、娘は激昂し食事も摂らなかったらしい。彼女はなぜ餓死を選んだのか? それとも親が嘘を? だが、解剖を行った光崎教授は、空っぽであるはずの胃から意外なものを見つけると――。
浦和医大・法医学教室に「試用期間」として入った研修医の栂野真琴。彼女を出迎えたのは偏屈者の法医学の権威、光崎藤次郎教授と死体好きの外国人准教授・キャシーだった。凍死や事故死など、一見、事件性のない遺体を強引に解剖する光崎。実は「既往症のある遺体が出たら教えろ」と指示していた、その真意とは?
埼玉県警のホームページにある掲示板にコレクター(修正者)と名乗る人物からの書き込みが始まった。コレクターは事故死や病死で処理されそうな遺体の解剖を促す書き込みをする。埼玉県警の要請を受け、浦和医大法医学教室の光崎教授と研修医の真琴は真相を確かめるため解剖を行うが――。
浦和医大法医学教室に城都大附属病院の内科医・南条がやって来た。急死した前都議会議員・権藤の死に疑問があるという。埼玉県警の古手川刑事は甥による毒殺の証拠を摑むが、光崎藤次郎教授が司法解剖から導き出した答えは恐るべき感染症だった! 感染源特定に挑む新米助教・栂野真琴が辿り着いた驚愕の真実とは――!?
これから一人だけ誰かを殺す。
自然死にしか見えないかたちで――。
斯界の権威・光崎に宛てた犯行予告。
悪意に潜む"因縁"とは!?
死者の声なき声を聞く法医学ミステリー
「ヒポクラテス」シリーズ 慟哭の第四弾!
浦和医大の研修医。内科教授の勧めで単位と広範な知識の修得のため、法医学教室にやってきた。気が強く感情的な面がある。
浦和医大・法医学教室の教授。斯界の権威で、解剖の腕は超一流だが、傲岸不遜で口が悪く、頑固。短躯で歩くのが遅い。
アメリカ生まれの准教授。医学生時代に光崎のことを知り、日本にやってきた。流ちょうだが、時々おかしな日本語を話す。
埼玉県警捜査一課の刑事。熱血で猪突猛進なところがある。
古手川の上司。凶暴な顔つきで仕事に厳しく、口が悪い。