第15回 カバー、こんな感じです

美月あきこさん新刊の編集作業、着々と進んでおります。
カバーも確定しました。
今回、写真のような表紙カバーになります。
前回同様、非常にいい感じになったと思うのですが、
いかがでしょうか?

「はじめに」も美月さんから届きました。

 

はじめに

本書をお手に取ってくださった皆様に、感謝申し上げます。
二〇〇九年十二月に上梓した前作『ファーストクラスに乗る人のシンプルな習慣』は、おかげさまでたくさんの方に読んでいただきました。
今回、その続編を書くにあたって「コミュニケーション」をテーマにしようと考えたのには、こんな思い出があるのです。

私が小学校三年のときのことですから、少々(かなり?)昔のことです。
このとき、家族旅行ではじめて飛行機に乗りました。一歩足を踏み入れた瞬間、耳にしたことのない低騒音と目にしたこともないドーム型の空間に迎えられ、乾燥したカーペットの匂いやプラスチックのインテリアが放つ硬質な匂いがツンと鼻をついたことを覚えています。
言葉づかいと立ち居振る舞いが上品なスチュワーデスは、学校や近所など私が知る環境ではけっして接することのない人でした。搭乗券や荷物棚をゆっくりと指し示しながら、見たこともないようなやさしい微笑みをたたえ、丁寧な口調で座席に案内してくれました。子供ながらにものすごくドキドキしたことを覚えています。
搭乗してどちらが窓際に座るのか……というありふれた兄弟げんかをしました。結局、私が窓際を占拠。勝ち誇った気持ちで窓の外を見た、その時の光景が私の将来を決定づけたのです。
飛行機にお客様全員が乗り込むと「ドアモードを変更してください」というアナウンスが機内に流れます。出発準備が整った飛行機はゆっくりと後ろにトーイング(牽引車によって牽引すること)をはじめます。
そこで、私が窓から見た光景とは……。
泥だらけのオーバーオールを身にまとった五~六人ほどの整備士が整列し、私の乗る飛行機に向かってゆっくりと手を振っている光景でした。
その光景は私に、さまざまなメッセージを与えてくれました。
無言のメッセージが私に感動を与え、行動に駆り立てました。
その後、空の職場の仲間入りを夢見て、CAになりました。
このように、本来のコミュニケーションは音声の有無に関係なくメッセージを発し、それを相手が感動して受け取り、行動に移す。それが基本だと思うのです。

私はやがてファーストクラスの担当もするようになりました。そこで創業社長の方々を数多く目にし、本物の「成功者」と接するうちに、目からウロコが落ちるようなシーンを目の当たりにし、たくさんの感動を覚えました。
私はファーストクラスでサービスを提供しながら、人間にとってもっとも大切なコミュニケーション術を学んだ、と胸を張って宣言できます。
ファーストクラスに乗っている成功者、特に創業社長の方たちとの機内での会話や挨拶を思い出し、じっくり分析してみると、顕著な特徴があることがわかりました。
普遍性が高く、ビジネスだけでなくプライベートでも活用できる。
周りが幸せな気分になり、その人のために自主的に行動しようとする。
この2点です。
 いわば、ファーストクラスのお客様は、会話だけで自分のファンを増やせる「人たらし」なのです。
 私たちが本当に知りたいのは、
「コミュニケーションの達人がどのようなスキルをもっていて、どんなシーンでどのように活用しているのか」、
そして
「そのようなコミュニケーション術を身につけるにはどうすればよいのか」
ということではないでしょうか。
 本書では、ファーストクラスのお客様が体得している「人たらし」テクニックを整理してまとめ、実践的な知識として公開します。
 シンプルなことばかりなので、だれにでも身につけられ、今日から実生活で使えることばかり。皆様にとって、必ず役立つ知識だと確信しています。

読書は旅客機にたとえるなら長時間のフライトです。どうぞ到着地の最終ページまで、御一緒させていただきます。そして読み終わったら、フライトの感想をお寄せください。今回はどうぞおてやわらかに。


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