祥伝社文庫で読めるもうひとつの佐伯作品、
それが『秘剣』シリーズです。
「おれは侍になる!」父を殺され、江戸を放逐された中間の倅・一松は、3年間の流浪の果て、大安寺一松弾正と名を変えて江戸に舞い戻ってきた。六尺を優に超える体躯。盗賊から奪った長刀をたばさみ、手には四尺五寸の木剣。箱根山中での決死の修行によって会得した秘伝の薩摩示現流――そこには昔の一松の面影はなかった! 荒ぶる若者の魂を描くシリーズ第一作!
木剣で叩き割られた頭蓋。だが、そこに鋭利な刃物でスパッと斬られたような痕があった。「これが秘剣鎌鼬か!」大安寺一松弾正は驚愕した。木剣が当たる前に男は絶命していたのだ……。水戸、宇都宮、仙台へと北上する一松に、遺恨を抱く薩摩藩の刺客が次々と襲いかかる。そしてついに薩摩示現流最強の敵に、一松の秘剣瀑流返しが挑む! 待望の第2弾!
元禄5年、葉桜の季節。薩摩藩下屋敷の広大な谷地に、槍隊、弓隊を組織した百人の屈強な藩士が待ち構えていた。対するは、大安寺一松ひとり。愛するやえを人質に取られた怒りが、炎の如く燃え盛っている。深夜の豪雨の中、絶叫と怒声が入り混じり、40人、50人と斬り結んで本陣へ迫った一松を待っていたのは絶体絶命の罠だった。圧倒的迫力で贈るシリーズ第3弾!
元禄五年(1692)冬。大安寺一松は水戸藩元藩主・光圀より影警護の依頼を受け、船旅に同道する。後継をめぐる将軍綱吉との不仲、水戸藩内における現藩主・綱条一派との確執など、光圀に敵は多い。船中にて一松が編み出した秘剣はさらに洗練され、おそるべき「秘剣孤座」へと進化した! 冷酷さと優しさを合わせ持つ不世出の男を描く傑作シリーズ第四弾。
水戸光圀公の影警護から一転、再び流浪の身となった大安寺一松。「秘剣雪割り」を編み出した箱根弾正ヶ原に立ち寄り、亡き剣の師・愛甲喜平太の菩提を弔う。その山中にて、一松は北条家の末裔を名乗る若い女と邂逅した。導かれた先は驚くべき事に、秀吉によって滅ぼされた一族が再興を賭ける「隠れ里」であった。一松を罠に陥れようとする妖しき女の狙いとは!?